「実印とは?」と聞かれてすぐに答えられる方は多くはないでしょう。
実印は印鑑であることには間違いありませんが、単なる印鑑ではなく重要な役割を持っています。
自分には関係ないと思われがちですが、このさき実印が必要になってくる場面はゼロとは言えません。
そんな時の為に「実印とは何なのか、どのような場面で必要になるのか」など、実印に関する基礎知識を解説したいと思います。
「実印」とは役所で登録された印鑑
「実印」とは住民登録(住民票がある)している役所で登録された印鑑のことを言います。
登録された「実印」はあなた個人のハンコであることを公(おおやけ)に立証することができ、「本人確認・意思確認」を証明するものとして扱われます。
簡単に説明すると、
あなたの印鑑を「なりすまし」などによって悪用されないように、自分だけのオリジナルの印鑑(実印)を登録することです。
役所で登録された印鑑は「実印」と呼ばれ、
実印を使うことは「この印鑑は本人のものである証拠、自らの意志で決定している」という意味で捉えられるわけです。
不動産の売買、住宅ローン、遺産相続など信用に関わる契約書や書類に実印を使うのはこうした意図があるからです。
「実印」と「認印」を混同してしまう方がいますがその重要性を履き違えないようにしましょう。
また、店舗や通販ショップで「実印 購入」などの言葉を見かけますが、あれは実印として使うことを前提として表現しているだけです。
ですから「実印」と表記されている印鑑を購入しても単なる「認印」にすぎません。
役所へ登録をすることではじめて「実印」としての働きを持つわけです。
実印を必要とする場面とは?
一般的に実印を必要とする場面は以下の通り。
実印を必要とする場面
- 自動車の購入、売却
- 一軒家、マンションなどの購入、売却
- 住宅ローン
- 遺産相続
- お金の貸し借り
主に金銭に関わる場面で必要とすることが多く、身分を証明するものとして実印が必要になります。
こうした機会がないのであれば必ずしも実印を作る必要はありません。
ですが、
いずれ来る機会に備えて実印を必要とする場面は把握しておいた方が良いかと思います。
実印を必要とする場面についてはこちら知らなきゃ困る!?実印が必要な場面はどんな時?で解説しているので参考にしてみて下さい。
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知らなきゃ困る!?実印が必要な場面はどんな時?
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15歳以上かつ1人1本まで登録可能
実印は15歳以上の方で1人1本まで登録可能です。
登録された印鑑は苗字が同じ家族であっても実印として登録することはできません。
実印は何本も登録できるものではありませんので、大切に管理・保管する必要があります。
また破損、紛失などをしてしまったら「廃止届」をした後、新しい印鑑で「再登録」をしなければなりません。
安物のハンコでも「実印」として登録可能だが・・・
各市区町村が定める条件を満たしている印鑑であれば「実印」として登録可能です。
しかし、三文判(さんもんばん)のような安価な印鑑を実印として使うのは危険です。
三文判(さんもんばん)とは?
三文判(さんもんばん)とは安価な既製品の印鑑。
100円ショップ、文房具屋などで安く購入できるハンコでも、印鑑登録さえしてしまえば実印として使うことができます。(自治体によっては不可な場合も)
ですが、三文判(さんもんばん)のように機械で大量生産された印鑑を実印として使うのはそれなりのリスクがあります。
- 同型の印鑑が大量に出回っている
- 比較的手に入れやすい
既製品であるがゆえ同じ印影のものが出回っています。
特に100円ショップで購入できる印鑑は同じ印影のものが大量に出回っていますし、簡単に入手が可能です。
それら印鑑を利用して偽造、悪用されるリスクもゼロではありません。
実印は自らを証明するものであって、自分の身を守るものでもあります。
100円ショップや文房具屋など、どこでも購入できる安価な印鑑(三文判など)を実印として使うのは避けた方がよいでしょう。
銀行印を実印として使えるのか?
銀行印を実印として登録して使うことは可能で、実際に兼用して使っている方がいるのも事実です。
ですが盗難や紛失のリスクを考えたら実印と銀行印は分けた方が安全と言えます。
確かに実印と銀行印を1本にまとめてしまえば管理自体は楽ですが、それは実印と銀行印を同時に失うリスクもあるということです。
例えば紛失してしまった場合、金融機関と役所の各窓口へ届け出をしなければなりません。
- 銀行印⇨金融機関へ変更届
- 実印⇨役所へ廃止届、改印届
印鑑1本失うだけで凄まじい手間が生じてしまうのです。
また盗難されてしまった場合、悪用される可能性もゼロではありません。
少しでもリスクを分散するためにも実印と銀行印は分けた方が無難と言えます。
実印と銀行印の兼用についてはこちら実印と銀行印の兼用は可能なのか?を参考にしてみて下さい。
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印鑑証明書を添付することで効力を発揮する
役所で登録された「実印」は社会的・法的な効力を持つと言われていますが、印鑑証明書を添付することでその効力を発揮します。
というのも、書類に押された実印だけでは「間違いなく本人の印鑑(実印)なのか?」を証明することできません。
そこで必要になってくるのが印鑑証明書です。
印鑑証明書とは実印の印影や住所、氏名、登録番号が記載された証明書で、印鑑登録と同じように市役所または町役場で交付してもらうことができます。
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「印鑑証明書」に記載されている印影と実印の印影、この2つの印影の同一性が取れることで「この印鑑は本人が所有しているもの」と証明することができます。
実印が押された文書に「印鑑証明書」を添付するのはこのためなのです。
今回のおさらい
「実印」とは?
- 役所で登録されたハンコ
- 重要な契約や取引時に押印する
- 印鑑証明書を添付するのが一般的
「実印」とは役所で登録されたハンコを指し、自動車や不動産の売買、住宅ローン、遺産相続などの場面で必要とされるケースが多いです。
安価な印鑑でも実印として使うことができますが、偽造や悪用のリスクを考えたら印鑑専門店で彫られたものが好ましいです。
また、「実印」が押された書類に「印鑑証明書」を添付することで効力を発揮します。
「印鑑証明書」の入手方法はこちら実際に印鑑証明書を取ってみたので流れを解説してみるを参考にしてみて下さい。
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