- 「実印ってどんな場面で必要になるの?」
- 「いざという時の為に実印が必要な場面を知っておきたい」
実印は重要な場面で使われることがほとんどですが、普段生活するなかではあまり必要性を感じませんよね。
ですから実印を購入すべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
「私には関係ない」と思っていると突然そんな場面が訪れるかもしれません。
今回はいずれ訪れるかもしれない場面に備えて、実印はどんな時に必要なのか解説したいと思います。
実印が必要な場面とは?
実印が必要な場面として代表的に挙げられるのは以下の通りです。
実印を必要とする場面は?
- 自動車を購入、売却するとき
- 不動産を購入、売却するとき
- 住宅ローンを組むとき
- 遺産相続をするとき
- 会社を設立するとき
自動車を購入、売却するとき
自動車を購入、売却するときに実印が必要になります。
自動車は一戸建てやマンションと同じように「資産」として扱われ、所有権というものが存在します。
こうした資産はトラブルを避けるため、誰に所有権があるかを明確にする必要があります。
自動車の場合は所有者の情報を国土交通省(管轄の陸運局)へ登録することが定められています。
- 新規登録・・・名義(所有者)を新たに登録する
- 移転登録・・・名義(所有者)を変更する
- 抹消登録・・・廃車や使用の中止をする
これら登録手続きには譲渡証明書や委任状、申請書が必要でそれら文書に押すハンコが実印になります。
ただし以下のケースでは実印が必要ありません。
実印が不要なケース
- 軽自動車の場合
- 所有者がローン会社の場合
軽自動車は普通自動車と異なり「資産」として扱われないため、国土交通省への登録が必要ありません。
また、ローンを組んで自動車を購入した場合、自動車が担保にされるためローン会社が所有者となる場合があります。
こういったケースは登録手続きの必要性がないので実印も必要ありません。
ただしこれは通例であってそうでない場合もありますので、販売店で聞くのが確実です。
不動産を購入、売却するとき
マンションや一戸建てなどの不動産を購入、売却するときに実印が必要になります。
不動産のような高額な金銭が発生する契約には「売買契約書」が存在します。
売買契約書には商品の引き渡し時期や方法、支払い期日や代金など細かな内容が記載されています。
契約内容を明らかにすることで、「やっぱり売らない」「やっぱり買わない」などといったトラブルを予防することができます。
売買契約書に実印を押すことによって、売主、買主の双方が同意したとみなし売買契約が成立するわけです。
また、「所有権移転登記」にも実印が必要になります。
「所有権移転登記」とは、売主が不動産の所有権を買主に移す登記作業のことです。
例えば売主が「家(土地)を売った覚えがない」などと言ってしまえば揉め事の原因となるのは目に見えています。
こういった後々のトラブルを防ぐため、家(土地)の所有権を移す「所有権移転登記」が義務付けられているのです。
不動産のような高額な案件を扱う場合は、信頼性を高めるために実印を押す書類が多く存在するのです。
住宅ローンを組むとき
住宅ローンの融資申し込みの審査や契約に実印が必要になります。
家を新しく建てるとなると数百万~数千万と多額な費用が掛かるため、銀行からお金を借りる方がほとんどでしょう。
銀行側としては高額な融資をするわけですから、大損やなりすましなどのリスクはどうしても避けたい。
そこで本当にお金が返せる能力があるか判断するために「審査」というものを設けており、審査が通ることによって晴れて住宅ローンの本契約にたどり着くわけです。
実印はこの審査のタイミングで必要になります。
くわしくはこちら【住宅ローン】融資申し込みに必要な実印(印鑑)についてで詳しく解説しているので参考にしてみて下さい。
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【住宅ローン】融資申し込みに必要な実印(印鑑)について
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遺産相続をするとき
遺産相続をするときに実印が必要になります。
相続には「遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)」が作成されることが一般的です。
遺産分割協議書とは故人の遺産(不動産、預貯金、株式など)を複数の相続人に分ける際、誰がどの遺産を相続するなどの話し合いをまとめた文書のことです。
遺産分割協議書を作成することで「これは私の遺産だ」「こんな話聞いていない」など後々のトラブルを予防することができます。
実印を押すことは全ての相続人がその内容に対して同意したことを指します。
また本人の実印を押すことで、なりすましなどの第三者による悪用を防ぐことも目的とされています。
ただし、以下のケースは実印が必要ありません。
実印が不要なケース
- 相続人が1人しかいない
- 遺言書がある
相続人が1人しかいない、遺言書がある場合は、遺産分割協議書が不要なため実印が必要ありません。
相続の方法によっては実印が不要なケースがあるということを覚えておきましょう。
会社設立や起業するとき
会社設立には登記申請しなければなりませんが、そのときに実印が必要になります。
登記とは会社の情報(会社名,所在地,代表者の氏名)を管轄の登記所(法務局)へデータとして登録することです。
このとき代表者印(会社実印)を届け出をする必要があり、「印鑑届書」に押印して提出しなければなりません。
個人の実印でいうところの「印鑑登録」と考えてもらえれば分かりやすいと思います。
また「印鑑届書」には代表者印(会社実印)の他に届出人の個人実印も必要になります。
会社設立には登記が必要で、会社と個人の2つの実印が必要になるということを覚えておきましょう。
代表者印(会社実印)の詳しい内容はこちら会社設立(登記)に必要な代表者印とは?を参考にしてみて下さい。
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印鑑証明書を添付すること
実印が押された書類に印鑑証明書を添付することが一般的です。
というのも書類に実印を押しただけでは単なる認印にすぎず、本当に「本人のハンコか?自らの意思でハンコを押しているか?」を証明することができません。
そこで『印鑑証明書』が必要になります。
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印鑑証明書とは?知っておきたい基礎知識と作り方について
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実印が押された書類に印鑑証明書を添付することではじめて法的な効力を発揮するのです。
実印と印鑑証明書を混同してしまう方がいますがまったくの別物です。
- 実印:印鑑登録されたハンコ
- 印鑑証明書:本人(実印)を証明するための書類
実印の提出を求められたら印鑑証明書もセットで考えておくと良いでしょう。
今回のおさらい
実印が必要な場面は?
- 自動車の購入・売却時
- 不動産の購入・売却時
- 住宅ローンを組むとき
- 遺産相続をするとき
- 会社設立・起業するとき
補足
- 印鑑証明書を添付することが一般的
- 実印と印鑑証明書は別物
- 実印を作ってから印鑑証明書を交付する